この度は、私たち益子濱田窯×筑波大学大学院生有志チームが挑んだクラウドファンディング「濱田庄司とバーナード・リーチの茅葺屋根門再生と創造|栃木県益子」プロジェクトに、皆様より貴重な浄財を賜りまして誠にありがとうございました。442人もの方々からのご支援総額は、11,397,000円となり、私たちが当初定めた目標額800万円を大幅に上回る成果で大成功となり無事募集期間を終えました。これもひとえに、この茅葺き長屋門再生のために向けられた皆様の温かいご厚情のお陰であります。
濱田庄司が益子のこの地に濱田窯を開いたのが1931年。そして1934年に、生涯の盟友のバーナード・リーチが益子で滞在制作するために近隣からこの長屋門を移築し、以降リーチは度々この長屋門を工房兼居室として愛用しました。二人の厚い友情が詰まったこの建物は、移築後90年近くの間に度々茅葺き屋根の葺き替えを行ってきましたが、主亡き後は倉庫として閉ざされた状態になっており、屋根に加え土台部分の木材にも傷みが見られ、大幅な修復工事が宿願でありました。
そのような時期に、筑波大学大学院でクラウドファンディングを活用した歴史的建造物の保全に関する研究をしている学生たちが訪問し、私たちを後押ししてくれたことをきっかけとして、大学院の友人達と濱田窯の私達でチームとしてプロジェクトに取り組む決心をしました。また時期を同じくして、古民家の経験を積んだ大工の棟梁や建築関係の方々、茅葺き屋根修復に取り組む茨城県石岡市の常陸風土記の丘様、リターンにご協力いただいたLLP風景社様や、茅葺き建築を長年研究されている筑波大学名誉教授の安藤邦廣先生、また各地で民藝を愛する人々など、多方面から応援をいただき前に進めることとなりました。
クラウドファンディングを行うことにより、様々な方々から茅葺きや古民家の営みや現状の問題点なども学び、また濱田庄司の民藝運動について見つめ直す機会としても実り多きものとなりました。濱田窯を代々支えてくださった方々の歴史を確認しながら、さらに今後の新たな宿題と展望も持つことができ、貴重な経験であったと深謝するとともに振り返っております。
今後約1年間を通して、皆様からご支援頂きました資金を元に濱田窯長屋門の全面修復を行い、これからの茅葺き屋根文化や古民家の維持活動などの発信の場として、そして濱田とリーチが愛用した陶芸工房を未来へ生かす文化施設として、この場を生かしてしていきたいと考えています。私共の活動にご親切にご支援頂きました多くの皆様に、感謝の気持ちを表するにはとても言葉が足りませんが、この茅葺き長屋門における活動を続けることによって、皆様に感謝の意を示していきたいと考えています。どうか末永くお見守りいただけますようお願いし御礼の言葉といたします。
2022年1月吉日
益子濱田窯×筑波大学大学院有志チーム 代表 濱田友緒